食の重要性がまだまだ認知されていない日本

デザイナーフーズ

マクガバン・レポート

1970年代、アメリカのフォード大統領が誰もが持ちそうな疑問を呈しました。「アメリカは世界一の医療技術を持っているのに、どうしてガンや心臓病が増え続けているのか?」…確かにその通りです。

この問いに答えたのがジョージ・マクガバンというアメリカの上院議員で、時期大統領との呼び声も高かった有能な人物です。このマクガバンがトップになってアメリカ合衆国上院栄養問題特別員会を設置、世界中を調査しました。結果、その報告書は5000ページにもなりました。その報告書こそが、「マクガバン・レポート」なのです。

マクガバン・レポートによりますと、肉中心の食生活がガンや心臓病、糖尿病などを発生させている原因であること、加えて、精製加工品の増加によるビタミン・ミネラルなど、微量栄養素不足も指摘されました。

また、広い視野の問題点として、医学会が長期にわたって病気対策における栄養の重要性について過小評価してしてきた点も浮き彫りになりました。こうした問題点に基づき、アメリカは対処法を考慮することになります。それまで軽視されてきた栄養学は見直され、最低でも30時間以上の授業を受けることが医学を志す人たちに義務付けられます。

アメリカ食品医薬品局(FDA)はマクガバン・レポートをもとに1979年に「ヘルシーピープル」と名づけられた対策を掲げ、国をあげて取り組むようになりました。

1990年には「デザイナーフーズプロジェクト」を立ち上げ、未精白の穀物と野菜、海藻、豆類など植物食中心の摂取を指導します。こうした取り組みが功を奏し、アメリカのガンは2003年から減少を続けています。

デザイナーフーズプロジェクトにおいて、世界の食を見た時、日本の和食が理想的であることが指摘されました。塩分過多なところを除いては、理想食だったのです。せっかく理想とされる食文化のある日本ですが、近年は食の欧米化とともにガンなどの生活習慣病が増加しています。

日本において

アメリカと比べると、こうした点で日本においてまだまだ遅れが見られます。ガンが「生活習慣病」であるという認知、患者「食」の重要性、医療従事者への栄養学の教育など、そのレベルは改善前のアメリカとほとんど変わっていません。多くの医師が食べ物に関する教育を受けないまま治療に携わってきたため、日本の医療現場において食の認識が遅れているのが現状です。

ガンの治療が終了した時点で患者は退院後の生活について、食べ物など、どのようなことを注意したらよいのか医師に助言を求めますが、医師の返答は「今まで通りでいいですよ」、「何を食べてもいいですよ」というものです。患者にしてみれば、その言葉に安心してそれまでどおりの生活を送ります。退院後の食事指導が疎かなため、どうしても再発率が高くなります。

ガンは生活習慣病なので、患者のそれまでの生活環境が発病原因です。極端な言い方をしますと、ガンの原因はガン細胞ではなく、その人の問題ある生活習慣なのです。そこを改善しない限り、ガンは発生・再発します。

訴訟の恐れがあるために安全ラインの外へは出ない

日本においては他の問題点もあります。厚生省が定めた範囲内の治療(手術・抗がん剤・放射線)を医師が行なって、患者が亡くなってしまった場合は訴えられません。しかし、定められた治療とは違う治療を指導して患者が亡くなった場合は訴えられることがあります。そして、医療側はたいてい敗訴します。

そのような現状がありますから、医師側としても、一般的に定められていない治療法(ゲルソン食事療法など)を指導しにくいわけです。せっかく善意で指導しても、訴えられては元も子もありません。まだまだガンの患者数が増加する日本の課題は多そうです。