乳がんの治療 手術法

できるだけ守り、残す

乳がんのよく知られている手術法は「胸筋合併乳房切除術」(定型乳房切除術、ハルステッド手術)、「拡大乳房切除術」、「胸筋温存乳房切除術」(非定型乳房切除術)、「乳房温存手術」(乳房部分切除術)があります。切除する部位や範囲によってその呼び名が変わります。

胸筋合併乳房切除術

これは、定型乳房切除術あるいは、ハルステッド手術(現在の乳がん手術を確立したハルステッドという人物にもとづいた名前)とも呼ばれているもので、乳房全体と、大胸筋、小胸筋、腋窩(えきか)リンパ節など、全部切除してしまう手術です。この手術法は現在の日本においてはほとんど行われなくなっています。

拡大乳房切除術

これは、上記の胸筋合併乳房切除術に加えて、乳房の内側にある胸骨周辺のリンパ節(胸骨傍リンパ節)、鎖骨上部のリンパ節(鎖骨上リンパ節)を切除する方法です。この手術法も胸筋合併乳房切除術と同様、現在の日本において行われなくなっています。

胸筋温存乳房切除術

胸筋温存乳房切除術の中でも大きく2種類に分けられる手術があります。ひとつは、大胸筋・小胸筋を温存して、乳房切除と腋窩リンパ節(脇の下のリンパ節)切除を行なう手術(オーチンクロス手術)です。もうひとつは、大胸筋のみ温存して、小胸筋と腋窩リンパ節を切除する手術(ペティ手術)となっています。

乳房温存手術

乳房温存手術とは、その名前のとおり、乳頭や乳輪をできる限り温存し、乳房部分切除と腋窩リンパ節の切除を行うもので、円状切除術と扇状切除術があります。女性の尊厳のためにできるだけ乳房を温存しようとする方向性が最近の傾向となっており、この手術法が主流になりつつあります。

これは切除する部分が最も少ない手術法なので、進行が初期もしくはそれに準ずるとされるステージが0,Ⅰ,Ⅱ期の乳がんに向いています。

切除する部分がより少ないというメリットもある一方、がん細胞の見逃しや未切除のデメリットも存在するため、手術後に適切な放射線療法を行うことが基本的にはセットになっています。

センチネルリンパ節生検法

これは比較的新しい手法で、リンパ節に入ったがん細胞が最初にたどりつくと言われている腋窩のセンチネル(見張り番の意味)リンパ節をサンプルとして2~3個摘出し、がんの転移を調べます。そこで転移が認められなければ、腋窩リンパ節の切除を省略した上記の手術を行います。

これは一種の検査ですが、すでに触診や画像診断でリンパ節転移がはっきりしている人、または疑われる場合や、しこりが大きくなっており(通常3cm以上)、リンパ節転移が起きている可能性が高い場合はこの方法は選択されることはほとんどありません。