がんの本人告知

Diagnosis

がん、特に末期のがんについての告知の是非は人それぞれです。それは当人の命に関わるデリケートで難しい問題です。

がんであると知らされることにより、「負けてたまるか」と奮起し、絶対に治そうと意気込む人もいる一方で、告知をうけた途端にひどく落胆し、うつ状態になったり、無気力になったりする人もいます。告知が吉と出るか、凶と出るかはしてみるまでわからないのです。

もし、告知により、当人がひどく落ち込んでしまうなら、それに伴って身体の免疫系も低下します。そうなると状態がますます悪化し、告知しなかったほうがよかったのかもしれないという気持ちに悩まされる場合もあるでしょう。

控えめな告知

最近の日本における告知の傾向はどうなっているでしょうか。

最近の傾向として、がんが治る見込みのある患者にはありのままに告知しています。そうではない末期がんや進行がんの患者には、予後や余命に関しては積極的には告知しない形がよく見られます。

後者の「控えめな」告知の場合、患者に詳細すべてをお伝えするのではなく、あくまで「がんを発症している」程度にとどめます。

転移・再発の恐れが非常に高いがんであっても、本人には「手術で取れるところはきれいに切り取りました」程度にお伝えし、家族にのみ残りの真実を伝える方針が選ばれることが多いようです。

告知の必要性

患者に対して、伝えやすいところは伝え、伝えにくいものは家族に伝えるという、このような告知に対して賛否両論あります。

当人が自らのがんの状態をはっきり認識し、しっかりと闘ってゆくという観点からすると、患者自身に正しい情報が重要なのかもしれません。

がんの再発や治療過程の中には厳格な食事療法などのように、自らに厳しい制限を加えなければならないものもあります。

それらを続けて行けるか否かは、患者自身がどれだけ意義を見出しているかにかかっています。つまり、つらい食事療法や治療を続けるためは、「自分の病状の深刻さを理解している必要がある」のです。

極端にいうなら、「これをやらなければもう死ぬのだから、どんなにつらくても続ける」くらいの覚悟が患者自身に求められます。

どん底からの覚悟

そのような意気込みを抱くためには、どうしても自らの身体に生じているがんの深刻さを正確に当人が知る必要があるのです。その意味では、当人にはつらい現実ですが、きちんと告知してあげるのも大切なことなのかもしれません。

がんに立ち向かう覚悟を持つのに役立つ事柄としてどのようなものがあるでしょうか。一度、「どん底」の心境を経験するなら、強い覚悟を持ちやすいと言われています。逆説的ですが、どん底を経験した人ほど強くなれるというわけです。

告知はとても難しい問題ですが、愛する人の力を信じ、隠し事はやめて、共に闘ってまいりましょう。