乳がんの放射線治療

照射

ここでは、乳がんの放射線治療について注目しています。乳がん腫瘍は大きいものから肉眼で確認できないような小さなものまで様々な大きさがあります。

そんな乳がん細胞に対して、高エネルギーのX線を照射することにより、成長を妨げたり、死滅させたりする治療法が放射線治療です。

放射線治療は効果の出やすいがんとそうでないものがありますが、乳がんは放射線治療が比較的効きやすい種類のがんといわれています。

正常な細胞でもがん細胞でもそうですが、増殖するためのプログラムが細胞内にあらかじめ存在しています。

各細胞はそのプログラムに従って増殖してゆくわけですが、放射線が当てられると、細胞内に存在していたそのプログラムそのものが破壊されます。

ですから、細胞は増殖することができなくなるのです。増殖できなくなった細胞は寿命を迎え、小さくなってやがて死滅してしまいます。

外部からの照射

放射線治療には、体外から放射線を照射する外部照射と、放射線が発生する物質を体内に一時的、もしくは永久に留置して照射する内部照射があります。

乳がんへの放射線治療を行なう場合、外部照射が一般的です。

一般的な治療スケジュールとしては、手術後3週間経過した頃から開始され、5~6週間、週5日、1日10~20分ほど患部へ照射します。基本的には通院治療となります。

初回にシュミレーションが行なわれ、照射位置が決められます。診療台の上にあお向けに寝て、両腕を頭の上にあげ、照射位置にマジックで目印をつけます。印に向かって2方向からX線が照射されます。

放射線治療が選択されるケース

放射線治療が選択されるケースにはどのようなものがあるのでしょうか。最も多いのは、最近主力の乳房温存手術とセットで行なわれるものです。

乳房温存手術は切除部分を極力少なくし、できるだけ元々の乳房を残そうとするものです。残す皮膚が多い分、がん細胞を取り逃してしまう、見落としてしまう可能性も大きくなります。

残した部分にまだ目で確認できないほどの微小ながん細胞が存在する可能性を考慮して、念のためにこの放射線治療を行なうというわけです。

放射線治療が選択される他のケースとしては、再発転移した場合です。残念ながら乳がんも再発したり、身体の他の部位に転移することがあります。特に脳や骨への転移が生じた際に放射線はがん細胞を縮小させ、痛みを抑えるのに有効です。

副作用

放射線は細胞内部にあるプログラムそのものを破壊してしまうため、がん細胞に有効なのですが、正常な細胞をも破壊してしまいます。そのため、副作用が生じてしまうことがあります。

乳がんの放射線治療を行なう際、どのような副作用が予想されるでしょうか。

挙げられるのは、乳房機能が失われてしまうことです。授乳はできなくなることが多く、皮膚は発汗能力が低下もしくは停止してしまいます。

また、放射部位に痛みやかゆみが生じたり、変色、日焼けのような症状が出ることもあります。

そのほか、放射線を当てた部分の皮膚が固くなってしまったり、もう一方の乳房との違和感が残ってしまう場合もあります。どのような副作用が出るかは個人差がありますが、よく観察されるのはここで記したような症状のものです。