塩分の摂り過ぎは胃がんのリスクを増大させる

塩

塩分の摂り過ぎると胃がんになりやすいとされています。今でこそ僅差で大腸がんや肺がんに追い抜かれていますが、かつての日本は胃がん大国でした。胃がんは男女ともに長い間、がん死因の第1位だったのです。

日本人は塩分の摂り過ぎ

日本人の主食はご飯ですから、塩分のあるおかずがあると食が進みます。日本食はヘルシーだと評判ですが、唯一塩分が多いのが弱点とされています。

日本人の塩分摂取は多いのでしょうか。世界に目を向けてみましょう。世界保健機関(WHO)は、人間の食塩摂取目標を1日あたり5グラムとしています。では、日本における最近の現実はどうでしょう。

2014年12月に発表された厚生労働省のデータによりますと、2013年における成人の一日あたりの塩分平均摂取量は男性で11.1グラム、女性で9.4グラムだそうです。世界基準と比べてみても、日本人が塩分を摂り過ぎているのがよくわかります。

こうした流れをみて、2015年4月より、厚生労働省は日本人の塩分摂取目標量を1日あたり男性で8グラム未満、女性7グラム未満としました。それまでは、男性9グラム、女性7.5グラムだったのをさらに修正したのです。

ちなみに、日本高血圧学会減塩委員会は、高血圧予防のために、1日6グラム未満という制限を勧めています。

塩分の摂り過ぎが胃がんリスクを増大させる理由

では、なぜそもそも食塩の摂り過ぎが胃がんの発症率を高めてしまうのでしょうか。

ひとつは、塩分の摂り過ぎにより、胃が荒れてしまうことによります。胃が荒れると、その都度修復しなければなりません。

修復を頻繁に繰り返すと、その分だけ細胞増殖の機会が増え、細胞増殖時のコピーミスにより、がん細胞が生まれてしまう可能性が高まるのです。

胃の状態が荒れていると、ピロリ菌に感染してしまう可能性も高まります。このピロリ菌も胃がん発症の要因となります。

ピロリ菌

人間の胃で出される酸は強力な殺菌作用があるため、そこに細菌が住むことはできないと考えられていました。しかし、1979年になってピロリ菌が胃に住みついていることが発見されたのです。

ピロリ菌の発見からまだ数十年しか経っていないため、最近ようやくこの菌のことがわかってきました。

ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の主要な原因で、私たちに痛みや苦痛をもたらします。日本人の約半数もの人がピロリ菌を保有しているとみられています。

ピロリ菌はそのような潰瘍の原因となるだけでなく、胃がんの原因となることもわかってきまました。1994年、世界保健機関は、このピロリ菌をたばこと同様に、第一級の発がん性物質に指定しているほどです。

塩分+ピロリ菌

塩分の摂り過ぎによって胃の粘膜が荒れ、その荒れた粘膜にピロリ菌が住みつき、住みついたピロリ菌がさまざまな毒素を放出して、さらに潰瘍などを引き起こし、ますます胃を痛めてしまいます。そうなると、より多くのピロリ菌が繁殖してしまうという悪循環が生じます。

度重なる修復が必要とされるため、細胞増殖の際に突然変異が生じるリスクがどんどん増えてしまうのです。このように、塩分とピロリ菌により、私たちの胃は発がん性を高めてしまうのです。

私たちの多くは、こうしたことを知らないで毎日の食生活を送っています。情報を得ることは大切です。かける醤油の量を減らしたり、塩分がたくさん含まれている麺類の汁を我慢したりといった意識をすることができるようになります。

日本人はまだまだ塩分の摂り過ぎのようですから、胃がん予防のためにも、塩分摂取量を意識して減らしてゆきましょう。