気持ちの上でがんに負けない

負けない気持ち
自分がガンであると宣告されて、良い薬や最新の手術など、治療に理想的な環境が整っていても、あるものが足りないと効果が半減してしまいます。それは患者の前向きな心です。

誰でも自分ががんになるとは思っていないため、いざガン宣告を受けると様々な心境を経験します。ドイツの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスによれば、がん患者の心境の移り変わりは次のような5つの段階に分けられます。

第1段階 否認

これは最初に経験する感情です。「そんな馬鹿な、自分ががんであるはずがない」といったような反応で、医師の診断を疑います。自己を防衛して死への不安から逃れようとする時期です。

第2段階 怒り

医師の診断が事実であると分かったなら、次にやってくるのは怒りです。「なぜ自分だけがこんな目に遭わなければならないのか」といったような理不尽な怒りを感じます。その怒りは家族や医師や看護婦やなどにむかって表れ、八つ当たりのような形になることもあります。

第3段階 取り引き

この段階では、刻一刻と癌に蝕まれてゆく身体・命のことを想い、なんとか助かる方法はないのか、宿命を回避するための手段を模索します。貴重な何かと引き換えにしてでも、懸命に生きる道を探します。

第4段階 抑うつ・悲嘆

多くのがん患者を襲う厄介な精神状態がこの抑うつや悲嘆といったものです。どうしても自らの人生の終わりが見え隠れすると、人間は落胆してしまいます。あきらめたり、絶望したり、無気力になったりして、悲しみのどん底を経験します。

第5段階 受容

ドイツの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスが体験と観察をもとに出したガン患者の最終的な状態は「受容」です。これは「自分はがんで死ぬのだ」ということを冷静に受け入れる段階です。逃げることも否定することもしません。静かにその時を待ち、残された日々を大切に過ごします。

気持ちと免疫の関係

がんを発症して落ち込むのは理解できることですし、医師から「もう助かる見込みはない」と言われれば、一般の人々は希望を持ちにくいものです。

しかしここで考慮したいのは、私たちが悲しみに沈み、悲観的な考え方をすればするほど免疫力が低下するということです。その状態だと、ガンで蝕まれた病状の悪化にさらなる拍車をかけてしまうのです。

心と免疫系は密接に関係することがわかっています。たとえば、うつ状態になると、ナチュラルキラー細胞の活性など、身体が自力で免疫力を高める働きが3~5割低下すると言われています。

それとは反対に心が前向きで意欲にあふれた状態だと免疫力は向上し、たとえ病気を発症してもその治療効果はうつ状態の時の約4倍にもなるとのことです。

がん治療においても同様のことが言えます。がんに立ち向かう前向きな気持ちがあるほど、その治療効果は高まるのです。実際に体がガンに負ける前に、気持ちの上で敗北しないようにしましょう。

決して簡単なことではありませんが、心の状態が良好でなければがんとの闘いを有利に推し進めることはできないのです。